【肩関節周囲炎 11か月の記録 第三話】

【肩関節周囲炎 11か月の記録 第三話】

目次

「先生、シートベルトが普通にできたよ。」11か月、一緒に歩いたゴールの先へ。

肩関節周囲炎は、痛みが落ち着いたら終わりではありません。

本当のスタートは、その先です。

痛みが減っても肩が動かなければ、日常生活はまだ不自由なままです。

だから私は、いつも患者さんにお伝えしています。

「治療とリハビリはセットです。」

この患者さんも、ここからが本当の勝負でした。


【5か月目】

左肩の炎症は少しずつ落ち着き、夜間痛も減ってきました。

そこで右肩のトレーニングを再開しました。

右肩は拘縮を改善するための運動。

左肩は炎症を確認しながら鍼治療。

左右で状態が違うため、治療内容もまったく違います。

その日の肩の状態を確認しながら、一つひとつ積み重ねていきました。

患者さん

「家でもストレッチやってるよ。」

その一言が本当に嬉しかったのを覚えています。

施術だけで身体は変わりません。

ご自宅でのストレッチやセルフケアがあってこそ、少しずつ身体は変わっていきます。

だから私は毎回、ストレッチの確認も一緒に行いました。


焦らないことも治療です

肩関節周囲炎は一直線には良くなりません。

調子が良い日もあれば、少し戻ったように感じる日もあります。

天気や疲れ、家事の負担でも状態は変わります。

だから私は毎回同じ施術はしません。

栗田

「今日はここまでにしましょう。」

「今日は少し負荷を上げてみましょう。」

「今日は炎症が残っているので無理はしません。」

その日の身体を診て、その日に必要な治療だけを積み重ねていきました。


【7か月目】

この頃から患者さんの表情が変わってきました。

痛みの話ではなく、

「今日はこれができた。」

そんな話が増えてきたのです。

患者さん

「先生、洗濯物が干せるようになったよ。」

「髪も前より結びやすくなった。」

「エプロンも後ろで結べるようになった。」

そして、少し照れながら笑って話してくださいました。

患者さん

「この前ね、子どもの試合で思い切り拍手できたんだ。」

その一言を聞いた瞬間、肩が何度上がるようになったかなんて、どうでもよくなりました。

私が治したいのは肩ではありません。

患者さんの日常です。

好きなことを我慢せずにできる身体。

家族を笑顔で応援できる時間。

その生活を取り戻すことが、私にとって一番のゴールです。


【9か月目】

忘れられない日があります。

患者さん

「先生。」

「シートベルト、普通にできたよ。」

初診の日、一番最初に聞いた言葉。

「先生、シートベルトができないんだよね。」

その悩みがなくなった瞬間でした。

栗田(心の中)

「良かった……。」

その一言しか出ませんでした。

栗田

「良かったですね。でも、本当に大切なのはここからです。」

患者さん

「まだ通うよ(笑)」

思わず二人で笑ってしまいました。


【11か月目】

気が付けば11か月。

本当に長い時間でした。

右肩が良くなれば左肩。

左肩が落ち着けば右肩のリハビリ。

何度も治療計画を見直しました。

実は今でも申し訳なく思っていることがあります。

木曜日の朝8時。

私の不手際で、患者さんを二度お待たせしてしまいました。

本来あってはならないことです。

患者さん

「先生、大丈夫だよ。」

その言葉に甘えてはいけない。

もっと信頼に応えられる治療家にならなければ。

そう強く思いました。


現在

現在も肩の拘縮は少し残っています。

でも、一番困っていたシートベルトは問題なくできています。

夜も眠れています。

洗濯物も干せます。

エプロンも結べます。

そして、お子さんの試合では思い切り拍手ができます。

現在はご自宅でストレッチを続けながら、月に一度のメンテナンスで通院してくださっています。

ここまで回復すると、ご自宅で身体を動かし続けることも大切な治療です。


最後に

私はよく患者さんから聞かれます。

「先生、五十肩って治るの?」

私はいつもこうお答えしています。

「どこをゴールにするかで、治るの意味は変わります。」

痛みがなくなること。

夜眠れること。

仕事ができること。

趣味を楽しめること。

患者さん一人ひとり、目指すゴールは違います。

だから私は、その方にとってのゴールを一緒に考えながら治療をしています。

○○さん。

ここまで11か月、私を信じて通ってくださり、本当にありがとうございました。

そして、お子さんのバレーボールチームが日本一になることを心から応援しています。

また来月、元気なお顔を見せてください。

それが、私にとって何より嬉しいことです。

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